フェデラー戦の敗因はサーブアンドボレー

全豪三回戦、錦織圭vsフェデラーの一戦。
非常に惜しい戦いでした。

一見すればフルセットの惜敗で、
徐々にフェデラーの調子が上がり、
最後、錦織のわき腹の痛みも出てきて、仕方ない敗戦に見えますが、
勝負は1セット目にあったように思います。

1セット目の5-2リードの場面だったでしょうか。
サーバーの錦織が30-15でそのゲーム内で2度目のサーブ&ボレーを見せました。
この瞬間、「この試合負けるかも。」と思い、かなりがっかりしてしまったのです。

錦織としては、いろいろな戦い方の幅を見せたいという思いもあったでしょう。
サーブ&ボレーを混ぜることでリターンを迷わせたいという思いもあったでしょう。

しかしあの場面は、明らかにとどめを刺しに行かなくてはいけないところです。
相手がフェデラーということで最初から気合の入ったプレーを見せ、
いきなり相手のサーブをブレーク。
いつもの錦織なら簡単にブレークバックを許すことも多いのですが、
しっかりとキープし、さらにフェデラーのサーブをもう一回ブレーク。
序盤は完ぺきで、フェデラーの出だしを見事にたたきました。
このセット、このまま6-2で奪うことが出来ていれば
流れは完全に錦織にきていました。

その大事な局面、なぜかサーブ&ボレー。
使うタイミングや場面を間違えたサーブ&ボレーやドロップショットは
流れを変えてしまう危険があります。

まさにこの場面がそれでした。

このゲームの錦織の2回のサーブ&ボレーがフェデラーに
「まだこのゲームいけるかも。」と思わせ、完全にやる気を蘇らせました。

メンタルの復活したフェデラーのプレーはまさに圧巻。
隙がありません。
このセット、タイブレークで辛くも錦織が取りますが、
このセットは取ろうが取るまいが、そんなことは関係なく、
もうすでに流れはフェデラーに行ってしまっていたのです。

第4セットも錦織が取りましたが、流れが変わったようには見えず、
ファイナルセットを取る余力は感じませんでした。
逆にフェデラーは第4セットを無理して取りに行かなくても、
プレーのレベルさえ維持してれば、この試合に勝てることはわかっていたでしょう。

錦織の試合を見てると、ゲーム数で大きくリードしたあとや、簡単にセットを奪った後に
追いつかれたり、セットを奪い返されたりする場面が多いように感じます。
他のトップの選手なら完勝するところを、「なんか危なっかしい。」試合にいつも
してしまうのです。

それはリードした時にいろんなことを試したくなるのか、少し集中力が落ちるのかわかりません。
もちろん他のトップ選手も集中力が1試合全て持続する事なんてないでしょう。
でも、錦織の場合、多くは「このゲーム取ればもう大丈夫。」とか、「もう一歩で相手の心は折れる。」
といった場面で相手にブレークされてしまったりしてしまうのです。

錦織選手はファイナルセットでの勝率が歴代で最高というデータがありますが、
私的には、「ストレートで勝たなくてはいけないような相手にフルセットに持ち込まれている。」
ことが要因の1つではないかと思っています。
そういう相手ならもともと実力が上なのでファイナルセットにはいっても何とか勝てるというわけです。

今回のように流れを相手に持っていかれたうえ、実力も互格、経験や、試合の勝負所をとらえる力が
遥かに上のフェデラーが相手では、ファイナルセットの勝率が歴代最高とか、全豪ではフルセットで
負けたことがないだとかいうデータが当てはまるはずはないのです。

錦織は天才なのでいろんなことが出来るため、いろんなことをしたくなるのでしょう。
しかし、勝負どころではやはり自身の一番得意なプレーでとどめを刺しに行かなくてはいけません。
しかも今回は相手もピークは過ぎているとはいえ、
経験値も十分、勝負どころを見分ける嗅覚も十分な天才が相手だったのですから。

時にテニスというのは、勝つためには自分ができること、戦術の幅を
広げることよりも、相手の得意なプレーに持っていかせない事の方が重要だったりします。

フェデラーにとっては錦織に、得意のラリー戦でポイントを重ねていかれる方が
いやだったに違いありません。
まだまだ1本のショットの攻撃力では世界のトップであるフェデラーにとって、
ネットに出てくる錦織を封じることは、ベースラインにいる錦織よりも
くみしやすかったはず。
そして、錦織がネットに出てくるということは、ストロークでの狙い、
目標物がより近くになり、フェデラーにストロークの修整のきっかけを
与えてしまったのです。
その後のフェデラーのストロークがよくなったのは見ていて明らかでした。

今回の全豪はマレー、ジョコビッチが破れていただけに本当に残念です。
錦織のグランドスラム初優勝も夢ではなかったはずでした。

しかしシーズンは始まったばかり。
今回の敗戦を無駄にせず、糧にしてマスターズ、グランドスラムの
優勝を目指してほしいと思います。


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